Encyclopedia of Dominiaより: この文章は独自に翻訳したものであり、公式なものではありません。また、訳の間違いもある可能性があります。ご注意ください。(by JFK@あんかば) ドミニア百科辞典−ベナリアの歴史(History of Benaria)  ベナリアは、複雑で、今も成長している社会を内包しています。なんといったらいいのか、それは私に、健康でありながら破錠した、頑健な有機体を思い出させます。  しかしベナリアというこの有機体が、ドミナリア(Dominaria)の中心なのか、単に土地上の癌であるのかは、依然として問題となる点です。  ベナリア氏族の歴史家の1人が記したこの簡潔な論文の内容は、ベナリアの政治の本質、および起源を知ることができます。そして、7つの大きな氏族の、他の氏族との関係をも。  ――テイジーア(Taysir)  ベナリアの近年の歴史、およびその繁栄は、ローズコット氏族(Rosecot)のタミラ(Tamira)の8月の主導の下によるものである。  この論文は、ローズコット氏族の歴史家、ヴァーレン(Varren)によって謙虚に制作されたものである。  (追加のコメントは、デニッツ氏族(Deniz)の歴史家ヴォラ(Vola)、タームラ氏族(Tarmula)の歴史家エベニン(Ebenin)、ターンセヴ氏族(Ternsev)の歴史家ファニア(Fannia)、キャパシェン氏族(Capashen)の歴史家クレーアス(Cl'eueth)、ジョーエヴ氏族(Joryev)の歴史家サイトリル(Sytryr)、クロガー氏族(Croger)の歴史家ハヴラム(Havram)らによる。)  疑いようもなく、ベナリア帝国の首都ベナリアに住む市民らには衆知なように、近年我々の国の指導体制は若干の建て直しを経験しました。しかし、それと同じくらい間違いなく、「7つの柱」の見えるところで生活していないその市民は、7氏族の賢明な協定について、知る機会がなかったのかもしれません。  会議のリーダー、タミラによって任命された歴史家として私は、ベナリア全土に一族の最新の活動を告げることが、義務--かつ楽しみ--なのです。  しかし、まず最初に、我々の現在の栄光至る適切な事実の、簡単な概要をすることにしましょう。 (脚注1)   「その関連は、その意味を決める個人の見解程度の重要性しかないな」     --クレーアス   「尊敬すべき私の同僚たちのこの発言は、見当違いでしょうね。事実は、真実の声で話すのですから。    けれども、レトリックの飾りがないまっさらなガラスから、事実のダイヤモンドを取り出せるかどうかは、読者の方々の手腕次第でしょうね」     --ヴォラ 地理史  トルシュテン・フォン・ウルザス(Torsten Von Ursus)は、すばらしい馬の文明の制度を初めて採用し、かつて壮大であったシオールタン帝国(Sheoltun Empire)の崩壊から我々の先祖を導たとき以来ずっと、ベナリアはその壮大さに近づくことを目指してきました。  トルシュテンが我々のために選んだ名前――ベナリア、あるいは「熱望――さえも、我々の世界へ対する意志を宣言しています。我々の帝国を、かつて滅んだシオールタンよりも国力や領土を大きくするのだ、と。 (脚注2)   「ヴァーレンのこのコメントの信憑性は、ここでは論争中だ。シオールタンが急速に崩壊したという証拠がほとんどないのだ。実際、多くの文献は、その逆を指している。    彼は、ドラマ性のために単に学究的に誇張をしているだけだ」     --エベニン   「一人くらいは自身の氏族を第三者的立場から見て、真実を学ぶための記録をしなければならないよ、エベニン」     --ヴァーレン   「どんな古代の事実にも、複数の解釈ができますわ。そしてその中身は、議論のはじまりにふさわしいものですわ。みなさん」     --ヴォラ  今日のベナリアは、西はその富で並ぶものがない香辛料の島から、東は金属が豊富な赤鉄の山脈、南はク・ブリアン高地(Kb'Briann)、そして北はアヴナント島(Avenant)の端までの広さを持ちます。 (脚注3)   「かつて、アヴナント島と、右に出るもののないアヴナントの射手は我々の国の一部でした。しかし、愚盲な指導者ジョーエヴ氏族はアヴナントを迫害し、その結果わたしたちは島を失うことになりました」     --ファニア   「実際、我々の氏族録によれば、その人物は、アヴナント王子の娘と不義の愛を交わした、ターンセヴ氏族のリーダーとあります。彼女は、彼女の誘拐事件に対して良くは取りませんでした。そして彼女の父も、当然怒ったのであります」     --サイトリル 政治史  トルシュテンの死亡時、彼の7人の将校たちは、偉大なリーダーが彼らに残した教えの言葉を読みました。トルシュテンはいったいどの将校に、指導権の手綱を渡したのでしょうか?  この失われた勅令の正確な言葉が、我々にとって不明であるにもかかわらず、我々は結果を知っています:トルシュテンは、どの将校も選ばず、彼らすべてを選んだのです。  エンジェルファイア(Angelfire)教会の3人の聖職者の用心深い監視のもとで、将校らは、彼らの死んだリーダーの教えの真意を7日7晩をかけて議論しました。  そしてついに、8日目の朝に結論が出、将校らが会談している神殿の外でいらいらしながら待ちのぞんでいた、朝焼けで赤く染まった群衆に、彼らは挨拶したのです。  「この日が始まりです」  ローズコット氏族のイリアナ(Ilyana)は宣言しました。 (脚注4)   「またも、ヴァーレンは、事実を伝えずに状況だけを解釈している。その歴史的な日に、どの氏族のリーダーが、初めて口を開いたのかははっきりしていないというのに」     --クレーアス   「ローズコット氏族であると、他のどの氏族よりも頻繁に言及されているよ、クレーアス」     --ヴァーレン   「200年以上も後に、自分自身の目でこの式典を見たことがある、と主張する、いわゆるニ世代目の氏族の一人によって書かれた”同時代”の報告をあなたの氏族の一つまみの意見だとする場合には、単にローズコット氏族とあるのはそういった非難に対していくらかでも信頼性がありますわね」     --ヴォラ  「私たちと、私たちの氏族は、国々の中で最もすばらしい、この国に対する責任の権威をすべて引きうけます。  トルシュテンが私たちにわからせるように手紙を書いた7つの氏族は、1太陰年のあいだ、この国の先頭に立ちます。その氏族の長は同様に、ベナリアのすべてを治めます。太陰年が始まるたび、私たちの地位は、前年最も地位が高かった氏族が次の年は一番下になるように役割を交代していくでしょう」 (脚注5)   「フォン・ウルザスの副官の中には、かの偉大なるリーダーは、1つの氏族による独裁を避けるために、そして本当にトルシュテンの後を引き継ぐものが誰もいなかったためにこの組織をデザインしたと信じているのだ」     --クレーアス   「彼が単にリーダーシップの問題を押し付けようとしていたのだと言う者もまだいます。ですから、ある氏族が他の者たちを服従を強制しなければならないでしょう。もしそうなら、彼の目論見は外れたのですわ」     --ヴォラ   「そして、それにもかかわらずトルシュテンの馬鹿によって書かれた書類全部が冗談で、大馬鹿者の僧侶どもによって最後の宣言と間違えられたのだと主張する人もいるのです」     --ファニア 氏族の一員と地位  古代の伝説は、神々が空の星々は自分のものだと主張して、その輝く宝をかけて何年も戦ったと伝えています。相手へ文句を言うよりも他の星を破壊する神が出て来るまでにそれは拡大していきました。最後には、ある賢明な神が天をまたぐ星々を割り当てることを提案しました。神が投げた流れ星が覆うものはなんでもその神に属するのだと。全ての神が努力すれば優位にたてると思われたので、神々は全員その結論に従うことを誓いました。  今日、我々が夏に流れ星を見るのは、この有名な競争を神々が再現しているのだと教えてくれます。 (脚注6)   「これには別説があり--特に文書にされた別説ですが、私が加えるなら--どの星座がそれらに属するかを選ぶために彗星を描く神の説話があります」     --エベニン  そうして、それぞれ神が自分の星を投げ、最高の空の宝石は自分のものだと主張するのです。その時、人間たちも自分が引き受けると宣言します。(神がいっそう重要な意味をもつようになった現在では違います)その神の星座のもとに生まれた子供は誰でもその神に属しました。  シオールタン帝国の栄光の時代よりも前から、中央エローナ大陸北西部の偉大なる家族は、子供が星に属するのか他の家族に属するのかを決めるために星を見てきました。後年では、位の高い家族だけがこの習慣に従っています。現在、このような出生の祝福が7つの氏族にだけあります。自分達の子供たちが適当な月に生まれるように保証しようと努力を続けていますが、12歳になったそのときに(生まれの氏族に反して)星の氏族の一員となる子供が外部から生まれる偶然が起こる事もあります。このような偶然の生まれが、いつも悩みの種なのです。 (脚注7)   「一族の一員となる生まれ星を決める習慣は、初めて行われたときほど逆効果ではない。多くの氏族間の忠誠は--ときには他のものからある氏族を遠ざける唯一のものになるが--氏族と生まれ星を超えて幸運なところに居合わせた人々のために作られただけのものなのだ」     --ハヴラム 近代ベナリア  今日、1つの氏族が1年間ベナリアの指導権を握っているあいだ、7つの氏族のそれぞれが政府の各部門――国庫、海軍、陸軍など――をとりしきっています。正確に責務をまとめた目録は、ベナリアの政府の記録文書保管所で閲覧できます。  そして我々はエローナ全土で最も大きい、そして最も生産的な社会であるベナリアの指導体制を次の世代に移します。我々のリーダーは、近隣諸国の残念な風習である腕力によってではなく、論理的な意見の一致で達した賢明な決定によって推薦されるものなのです。 (脚注8)   「『熟慮の上での一致』とは、またまた相対的なお言葉ですね。あなたは、3件の毒殺、1件の刺殺事件、および数えきれない賄賂、ゆすり、および脅迫を『熟慮の上』だと言うのですか?」     --ヴォラ   「そんな『事実』の証拠などありえないことですよ、ヴォラ」     --ヴァーレン 翻訳ノート  ターンセヴ氏族とジョーエヴ氏族は氏族的にお互いを非難していたり、常に中立を保つヴォラと真っ向から対立するヴァーレンとクレーアスといった構図など、力関係を読み取る面白さもあり、インベイジョンにより滅びてしまったベナリアのありし日を教えてくれる貴重な資料と言えるでしょう。本来はこれにベナリア近辺の画像もついていたのですが、それを公開するかどうかはまだ検討中です。  また、プレインズウォーカー・ウルザが作り上げた「血統」計画は、ベナリアに大きく関わっています。7氏族の中の1つキャパシェン氏族にジェラードは属していましたし、インベイジョンで激戦区となったのもベナリアであることは、「血統」と全く関係ないとは言えないでしょう。  またおなじみの《ベナリアの勇士/Benalish Hero(UN-5E)》のフレイバー・テキストで語られているように、勇士階級は氏族に関係なく、また金で買うこともできません。そういった勇士たちの生活の一部分を垣間見ることができる資料があります。  「勇士の物語(the Hero's Tale)」がそれです。そちらもお楽しみください。