Encyclopedia of Dominiaより: この文章は独自に翻訳したものであり、公式なものではありません。また、稚拙な訳ではありますが、お楽しみ頂ければ幸いです。(by JFK@あんかば) ドミニア百科辞典−無限の捕食者(Eater of the Infinite) Farouk ab Illahにより語られる;  私が百科事典にこの話を含めることを選んだ理由は、ラバイア(Rabiah)の伝説の様式に、はっきりとした差異があるからである。それは、また2つの重要な人々と存在、つまり、砂漠の遊牧民たちと、セレンディブのイフリートについての、創造(あなたが望むならば、あるいは再形成であろう)の興味深い物語である。  我々は祝福されているのだと、ラバイア住人たちは言っていました。それは数え切れないラバイアの住人の1人でありますが、しかしながら我々の神々が、よそ者にもその気前のよさを微笑みかけ、許してくださるというのは、ただただ夢のような話でしょう。  このような幸せな時代に、この土地が、過去に危機を迎えたことがあるということは信じられないと思います。  しかし、そこにはかつて、とても冷酷な心を持ち、また妬み深かった、まさに砂のようなセレンディブ・イフリートが、自分のいる世界に他人が共存してはならないと考えたことがあったのです。  このイフリートは数年の間放浪しているときに、何ぴとも彼以外にラバイアの果てしない地平を歩む者をなくすことを風に誓い、そして、つぶやいている間じゅう、彼はその誓いを達成する方法を捜し求めていました。  ある日、外界のプレインズウォーカーが、戦いで自分を補助させるためにイフリートを呼び出しました。イフリートは雄々しくふるまい、戦いが終わったときに、妬み深いこの生きものの望みをかなえて欲しいと言われたプレインズウォーカーは、それに同意しました。  仮に、イフリートの望みが若きプレインズウォーカーをおもしろがらせたのだとしても、どうして魔法の武器として使う物がそのような申し出をするだろうと思うでしょうか?  長年待ちのぞんでいたこの機会を逃さず、イフリートは、彼がラバイアの地を歩くことができる唯一の生きものでありたいと思ったことを宣言しました。  イフリートのせっかちな欲望によってドキッとして、プレインズウォーカーは要望をよく考えました。深いの思慮の後、彼は、宝石をイフリートの額に置きました。現代の我々にとっては未知なる数々の魔法を働かせて、そのプレインズウォーカーは、イフリートの口を2つに裂き、その後、イフリートの左手を、おばあさんの舌よりも鋭い鉤形のナイフに変えました。  「これらの変化により、イフリートよ、私はおまえの望みを叶えよう」  プレインズウォーカーは宣言しました。  「おまえが左の手で切り裂くものは、砂虫のサイズに縮むだろう。おまえが左の口で飲み込むあらゆる生きものは、すべて永久にラバイア全土から消えるだろう――その種類の他のすべての生きものもそうだ。十分な忍耐があれば、すぐに独りっきりでラバイアの地平を歩むことができるだろう」  新たに許されたその力によって、イフリートは、彼が会った最初の生きものの方へ向かい、そして彼の左の手でそれを突き刺しました。それと同時にあわれな生きものは確かに砂虫サイズに縮み、イフリートはそれをつまみ上げ、それを左の口でまるごと飲み込みました。  ただのイフリートが何を食べたところで、我々は知りようもありませんが、それがはっきりわかったのは、その生きものとそれのすべての同類がもはや我々の地帯で存在しなくなってしまったからなのです。  自分の成功に大いに満足し、イフリートは、自身を無限の捕食者と呼ぶようになりました。その瞬間から直ちに、捕食者は、彼がすべての生きものを捜し出し、見つけたものとその親類をラバイアから放逐することを始めました。  捕食者は、2週間の間その抑えることのできない食欲を暴走させました。ある時、フィーラ(Fyhra)という名前の若い鳥の乙女が、捕食者が縮ませて1匹だけを食べることによって、野獣の群れ全体を破滅させることを目撃しました。まる1日と夜の間静かに彼の後をつけた後で、フィーラはすぐに、捕食者が説明しきれないほど多くの生きものを破壊していたことを理解しました。すべての神に自分が知ったことを祈り、夜明けの光がラバイアと、彼女の赤く灼けた顔を祝福したとき、フィーラは、捕食者の近くのでこぼこの岩地に降り立ちました。  「イフリート、あなたはどうして、野獣を食べているの?」  笑って、捕食者は答えました。  「どうして、か。それは、俺にそれが出来るからだ。そして、俺がすべての生きものを食べ、俺がラバイア全土でその親類すべてを食べたいからだ。すぐに俺はラバイアを独占するだろう。近いうちにな。ちっぽけな鳥乙女よ、そのおまえの種族は、俺の内で無限の仲間に加わるだろうよ」  恐怖でいやいやをしながら、フィーラは、朝日の方へ速く飛び去りました。彼は面倒だったので、そしておそらく、彼がフィーラの恐怖を大いに楽しんだために、捕食者はこの怖がった鳥乙女を追いませんでした。  午前の風に乗りながら、フィーラは、どのようにすれば自分が、ラバイアからすべての生きものを放逐するという捕食者を止めることができるかを考えました。  恐怖が彼女を1日の間飛ばせ続けた末、フィーラは、飛び続けるにはあまりにも疲れはててしまいました。冷えている夕方の砂に降りて、彼女は一人で静かにすすり泣きました。  「羽根を持つものよ、なぜきみは一人で泣いているのだい?」  声は、大きな砂丘の影から小さくささやきかけてきました。  「誰!?」  フィーラは叫びました。  「私は、傍観者だよ。私はきみが無限の捕食者に会ったのを見た」  おぼろげな影はそう返しました。  「ええ、会ったわ。そして私は、もうじきラバイアが彼のものになって、ほかの誰のものでもなくなることが恐いの」  フィーラは答えました。  「おそらくね。しかしまた、そうはならないかもしれない。私がきみに残す贈り物を取りなさい。そして、この砂丘の向こう側に眠っている男がいるだろうから、その男を起こしなさい。  捕食者は、彼の左の口で破壊するかもしれない、しかし、万物にはバランスがある。終わりのための左、始まりのための右があるんだ。きみが目をさまさせたら若い遊牧民に話しなさい、私が捕食者に言った言葉を。共にきみの世界を救おう。」  フィーラは質問ではち切れそうでした、しかし、彼女が彼に質問をする前に、おぼろげな影は風と共にちらちら光って薄れ、消えました。ただ、(きれいに転がされた)小さいけれどかさばりそうなじゅうたんが残っていました。それを広げるとすぐに、フィーラは、織り込まれた翼や渦巻のパターンから、見知らぬ人の贈り物が空飛ぶじゅうたんだったことを理解しました。  フィーラは、静かな見知らぬ人の言葉をしばし考えた後、じゅうたんを採って広い砂丘の上を飛んでいきました。確かにそこには、見知らぬ人が言ったとおりの場所に若い遊牧民の男が休んでいました。フィーラは、彼をこの砂丘に運んでくれたことを静かに神に感謝しました。  彼女はその砂漠の男のそばに降りて、そして柔らかに呼びかけました。彼が目覚めると彼女は自己紹介をし、そして厳かな遊牧民へおおまかなあらすじを話して聞かせました。  名をパカール(Pakhir)というその男は、鳥乙女の話を熱心に聞いていました。彼女が話し終わったとき、彼は言いました。  「お嬢さん、僕にこの話をしてくれて感謝するよ。今朝僕の一族のキャンプを去ったときから死に場所が欲しかったんだ。  というのも、君の見たとおり、僕は砂漠の民の最後の一人なんだ。みんなはひどい疫病がもとで死んじまった。世界は、僕たちを失ったことを深く悲しむかな。ただ無為に死んでいく不名誉のかわりに、僕が、僕たちの一族のサーガを栄光のまま終わらせることができるかもしれない」  パカールはそう締めくくりました。  「でも、私たちにこのことを教えてくれたその男は、いったい誰なの?」  「それは重要なことかい? 彼が真実を教えてくれ、僕たちは自分の土地を守れるかもしれない。そうでないなら、奴がそのまますべてを失わせるかのどちらかだ。僕たちはやるしかないんだ」  うなずいて、フィーラは、空飛ぶじゅうたんに乗るパカールとともに、前日彼女が来た方向へ飛び続け、やがて2人は、捕食者が、バッソラー(Bassorah)の街に近づいているのを見つけました。  フィーラは、彼女のちらちら光っている翼をめいっぱい引き伸ばして、捕食者の周りを回って飛び、世界を殺すつもりの者を呼んで挑発しました。  彼女がその持てる技を使い、都市から離れるようにイフリートを巧みに誘導し、捕食者は熱くなってその少女の後を追ってきました。  捕食者が十分に遠ざかったと判断し、誰もほかに危険にさらされないことを確認したとき、パカールは、自分の一族の名前を叫んで、そして直接イフリートへ突っこんでいきました。  彼は左手で器用にパカールを突き刺し、若い遊牧民を縮ませて巻きつかせたとき、捕食者の2つの口は喜びで広く開きました。その瞬間、フィーラはふたたび急降下し、イフリートの開いた右の口へすばやく、今はごく小さくなったパカールを押し込みました。  「すべての右にはすべての左を、すべての終わりにはすべての始まりを」  彼女は、捕食者の目が恐れで見開いたときにそう歌いました。というのも、パカールの死にかかっている身体が捕食者の右の口に入ったときに、その遊牧民の直系の先祖はすべて、再びラバイア全土に現れました。彼らは生き返り、なおかつ壮健でした。  しかし、フィーラとパカールは、捕食者に止めをさせませんでした。イフリートの左の手が彼の右の口の内部に触るとすぐに、彼の莫大な抑えきれない飢餓は、さらに一層大きくなりました。飲み込んで飲み込んで、捕食者の右の口はすぐに、最初に彼の手を、それから彼の腕を費やしていきました。急速に、ただ彼のひどく怒ったさけび声のこだまが空気に残されるときまで、無限の捕食者は、少しずつ彼自身を飲み込みだしました。しかし、捕食者が彼自身を費やしてラバイアから消えるまさにその瞬間、数多くの他のセレンディブ・イフリートがその土地で生まれ変わったのでした。  それぞれのイフリートは、2つの口があり、その先祖のような鈎爪を持っていました。しかし、我々にとっては好運なことに、新しいイフリートたちは捕食者の非常に恐ろしい力を持ってはいませんでした。  彼らはもちろん、しかしながら、呪いを有しています。というのも、すべてのセレンディブ・イフリートは、敗北の遺産と密接に結びついていて、誰かが呼びたいと思うかあるいは命令するとき、その呪いで、うまくやるための方法をもう一度考え直させるように。  セレンディブは、それを使役する者たちを呪います。その昔のプレインズウォーカーもそうだったように、その使役で彼らが働くのが長ければ長いほど、魔法の使役者に苦痛を引き起こし、悩みの種となるのです。  フィーラについて?彼女は、彼女の仲間の女英雄になりました、パカールもそうです――というのも、フィーラは、彼のすばらしい献身を、砂漠の遊牧民の代表に話したからです。  そして、フィーラに捕食者に勝つ方法を知らせたその男は、いったい何者だったのでしょう? それは何かだと、我々は決して知ることはないでしょう。たぶん、我々の地帯で遺憾を堪えたのが、神だったのか。または、予想どうりプレインズウォーカー……捕食者に彼の残忍な力を与えたまさにそのプレインズウォーカーと同一人物であるかもしれません。  我々は、我々の地帯で我々のどのようにセレンディブ・イフリートが2つの口を有することになったか、そして遊牧民が永久に歩いているゆえんの知識だけで満足しなくてはいけません。